嵐の前に

この一ヶ月間、毎週、高校説明会や進学フェアに行っている。

娘が自分の進路の方向性を決めたので、選択肢はなるべく多く吟味確認しておこうか、という親心…

多様性の時代と言われても、学校の個性はそんなに大きくは変わらない…と思っていたが、一つ一つ見ていくと、いろんな学校があるな…と思う。当たり前だが。

 

5年前、息子が受験生だった時は、もっと学校側が強気だった。

今回は、学校側の必死な呼び込みをどこへ行っても感じる。

少子高齢化で学校経営も大変だろう。

時代が変わったな〜と感じる。

 

私たちが住むS県には、H模擬テストというS県公立高校入試を想定した、民間業者の模試がある。

年に数回行われて、受験料は一回5000円弱。

県内の塾に通ってる生徒は必ず受けるようカリキュラムに組み込まれ、良い成績が取れるよう何度でも受けさせられる。

受験後、志望校の合格率や志望者内の順位、各教科問題の正回答率や傾向などが分析された成績表プリント紙が郵送されてくる。

 実は、この模試はただの模試ではない。

高偏差値を獲得すれば、S県内の難関私立高校へのゴールデンパスとなる。

そこまで高くはなくとも、そこそこの成績を収めれば、当日の入試が余程壊滅的でなければ、「確実入学」を約束してくれるという「確約」をもらえる。

しかし私立高校に限って、の話である。

「確約したのに落とされた」という苦情を聞いたことは今のところない。

(そうは言われても、何か誓約書のようなものをくれる訳ではない)

この模試は、県内の私立高校と塾業界の「談合」だ。

 

 

しかし公には、これは本当にただの模試である。一度も受けずに受験に臨む中三生もいると思う。

第一子の受験生の保護者で、塾に行ったこともない家庭だったら、そんな意味合いがあることを知るよしもない。

中学校側は、高校説明会に是非行って本人の意思を尊重してくださいとはいうが、実際に行くと、まず求められるのがこの模試成績表である。

なんというか本当に、一部の層の既得権益を繋ぐことで世の中が回っているような感がする。

 

娘は、偏差値とは別の価値観を必要とされる分野の学校を志望している。

それにはそれの苦労があるわけだが、テストの1点に一喜一憂するあの狂乱を味あわなくて済むのは気が楽だ。息子の時は、かなりアップダウンが激しくて、毎回ジェットコースターに乗っているような気分だった。

それでも同じ年代の子達と比べると、息子には確固たる目標があったので、気楽だった。

偏差値ってなんだろうと今でも思うけど、その頃は、何にも拠り所のない状態で途方に暮れるよりはましだ、と自分に言い聞かせていた。

 

受験は、避けて通れない人生の岐路ではあるけれど、なるべく本人の希望する方向へサポートしようと思う。

いろいろ情勢が変わるので、こころもとない部分もあるけれど。

 

嵐が来る前に、補強したり備品を揃えたりする心情と似ている。

もうすぐ嵐がくる。